2019.6.7
「地球環境科学と私」第十二回は地球環境システム学講座 土居龍成さんによる 研究との出会い です.
私が地球環境システム学講座に配属されてから、5年目になりました。日々、森林の地下部生態系、すなわち樹木根と土壌の関係性について研究をしています。森林地下部の生態系には分かっていないことが多く、学部4¬年から博士2年になる現在まで、研究内容は変わっていません。今でこそ博士後期課程に進むほど樹木根の研究に魅了されていますが、最初からそれに興味があったわけではなく、研究職を目指す夢も持っていませんでした。そんな私がなぜ樹木根の研究に興味を持ったのか、どのようにしてのめり込んでいったのかを少しご紹介したいと思います。
私が樹木根の研究に触れるきっかけとなったのは、学部3年後期に開講される「地球惑星科学セミナーⅠ」という授業でした。この授業は論文を1本読み、その内容をまとめて発表するものです。そのときにいただいた論文が樹木根についてのものであり、それを渡してくださったのが今の指導教員である平野先生でした。森林の地下部の研究は、地上部と比べて目で直接観察することができないこともあって調査が難しいため、未だに分かっていないことが多くあります。そのため、自分にも新たな発見ができるのではないかと考え、研究を始めました。
研究の一環として行う調査は、野外に出ての作業です。研究室から離れ、豊かな自然に囲まれた中で行う調査はとても心地よく、良い気分転換にもなります。野外調査はとても楽しく、他大学の方が中心となっている調査にも積極的に参加したくなるほどです。思い返せば、私の地元の愛媛も山に囲まれ、自然が豊かな地域でした。そのようなことも関係しているのかもしれません。
野外調査だけではなく、自分の研究成果を公表できる学会発表も研究の楽しみの一つです。学会は、調査で得られたサンプルを分析してデータ解析を行う苦労が報われる場であり、また同じような研究をしている他大学の同年代の学生に出会う良い機会でもあります。日本を見渡してみると、樹木根の研究を行っている研究室はそこまで多くなく、それゆえ名古屋大学にもほとんどありません。しかしながら、学会を通して同じ分野の研究をしている学生と出会うと、お互いの研究内容をシェアしたり、議論を深めたりすることができます。いわば「研究仲間」と交流を深めることにより、「あいつが頑張ってるから俺も頑張ろう」という自分のモチベーションにもつながっています。
思い返せば、自分が研究を始めたきっかけは平野先生との出会いであり、また現在の研究に前向きに取り組むことができているのも周囲の人たちに恵まれているからだと思います。そのおかげもあり、昔の自分では考えられなかったような経験を日々重ねています。どのようなタイミングで何に興味を持つのかは自分でも分かりませんが、 「ただがむしゃらに頑張って、日々を楽しく生きていれば何かが見つかる。」 このような気持ちでこれからも研究に取り組んでいきたいと思っています。