トップページ > 地球史学講座
この講座では、フィールドとそこから得られた資料に基づき自然史学的研究(自然の多様性と進化を明らかにする)を主として行う博物館と、自然の歴史と年代を明らかにする研究を主に行う宇宙地球環境研究所(年代測定研究部)とで構成されています。
博物館は学術資料の保管・研究、大学の社会との接点という役目を持ちながら、所属する各教員がフィールドや標本資料に基づく多様な研究を行っています。その主なものは、地質学(層序学や構造地質学、応用地質学、堆積学などを含む)、古生物学、動物学、植物学、考古学、など多岐にわたります。博物館特徴の一つにモンゴルを始めとする海外との密接な接点を持っていることも挙げられます。
宇宙地球環境研究所では、タンデトロン加速器質量分析計を使った炭素14年代測定と、名古屋大学で創案した電子プローブマイクロアナライザを使ったCHIME年代測定等を活用して、人間の歴史解明から、火山や活断層の活動周期の解析と近未来の地球環境予測、46億年にわらる地球の進化までを視野にいれた幅広い年代学に関する研究教育活動を展開しています。
新年代測定法研究分野では、CHIME年代測定法を用いて、岩石中のモナザイトやジルコンに含まれるウラン、トリウム、鉛を分析し、鉱物が形成した年代を求めることによって、全地史を詳しく解析しています。
タンでトロン年代研究分野では、炭・木・紙・骨・堆積物など、炭素を含むさまざまな試科について C年代測定を実施し、考古学、地球化学、環境学、人類学など多岐にわたる研究を展開しています。
地球表層での岩石(鉱物)と水(地下水)との相互作用と、それに伴う物質(元素)移動の研究を行っています。地球上の現象は、すべて物質移動によって生じると言っても過言ではありません。例えば、その現象の1つに地層中で形成・保存される球状コンクリーションがあります。このような自然現象に学び、そのメカニズムを工学的に応用することを試みています。
化石の形態とフィールドデータから過去の動物の生態,進化を探る研究を行っています。具体的には以下の3つのテーマに興味を持っています。
1.「生きている化石」を用いた古生物学、古生態学。
特に深海動物として知られているウミユリ類の古生物学、動物学。
2.捕食動物と被食者の生態学的関係とその進化。
捕食現象は動物進化に重要な役割を果たしたと考えられていますが、時代を追ってその関係がどのように変化したかを追跡します。
3.動物進化で重要なイベントであるカンブリア紀の動物多様化(カンブリア爆発)
これらのテーマの他にも、学生と相談の上興味深いテーマを探っていくことが出来ます。基本的にフィールドや「もの」を重視する研究を行っています。
フィールド調査を基本にして、地球史の解明に取り組んでいます。現在は、シベリアと中国を分かつ大構造帯、「中央アジア造山帯(CAOB)」の形成過程を解明するために、モンゴルで地質調査を行っています。また、原生代末期に起こった東西ゴンドワナ大陸の衝突過程を明らかにするため、南極大陸セールロンダーネ山地の地質の研究も行っています。
その他、法学分野と連携し、モンゴルの環境汚染調査と、それをベースにした環境法整備・政策立案に関する研究も行っています。
近縁の生物種が繁殖のときに「まちがって」干渉することで、子孫が減るなど繁殖成功率が下がってしまうことを「繁殖干渉」と呼びます。この繁殖干渉は生物の分布に深くかかわっている可能性があり、在来種が近縁の外来種に置き換わる問題にも関係していると思われます。私はフウロソウ属やタンポポ等を使って、この繁殖干渉の植物での実証的研究を進めています。他には「ダニ室」のように植物が作る器官と昆虫などの相互作用の研究や、クスノキ科の分類学的研究も行っています。
主に西アジアで考古学調査を行い人類史の研究をしています。特に、現存する唯一のヒトである私たちホモ・サピエンスの進化における生物学的側面と行動・文化的側面の関係を明らかにするために、アフリカと西アジアの約30万〜2万年前の考古学的記録を収集し調べています。また、人類最古といわれる西アジア初期農耕村落の社会構造を知るために、当時の生活に必須だった穀物収穫具(石器の鎌)や穀物加工具の製作技術や製作場、使用場の同定を行っています。西アジアは一見、日本と関わりが薄いように感じられるかもしれませんが、ヒトの進化や現代人の世界拡散、農業や文明の起源というように人類全体に関わるる史的イベントが継起した地です。その先史考古学を進めることによって、人類史の構築に貢献することができます。
脊椎動物は進化の過程でさまざまな生活圏へ進出していきましたが、これらの進化のイベントには走行、木登り、飛翔、掘削、遊泳といった四肢の運動機能の多様化が大きく関わってきました。これらの新たな運動機能を獲得するためにはどのような筋骨格形態の革新が必要だったのでしょうか。これを明らかにするため、解剖や力学的解析、動物園での観測をベースに、現生動物の四肢の運動機能と「かたち」の関係を探っています。
また、骨格形態から恐竜など絶滅動物の姿勢や運動機能を復元し、動物進化史の中での生態の多様化の過程を明らかにする研究も進めています。脊椎動物が専門ですが、最近はカニの脚の機能の研究も始めました。