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「地球環境科学と私」第三十三回

2022.1.7

「地球環境科学と私」第三十三回は地球惑星物理学講座 中野 誠之 さんによる 私と災害と研究と継続 です.


私と災害と研究と継続 地球惑星物理学講座 中野 誠之 

私の生まれ故郷である兵庫県西宮市は、27年前の1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震によって大きな被害を受けました。1998年生まれの私は直接地震を経験していませんが、毎年この時期になると震災当時の映像を授業で観るため、その恐怖は心に焼き付けられています。私が小学6年生の時には東北地方太平洋沖地震が発生し、津波という存在を初めて知りました。次々と黒い流れに飲まれていく道行く車に乗った人々はどうなってしまうのだろう、とテレビの前で母と立ち尽くしたことを今も鮮明に記憶しています。その後、中学生の理科の授業で阪神淡路大震災と東日本大震災での経験を涙ながらに話す先生の姿を見て、当たり前だった生活や身近な人々の命を一瞬にして奪い、人々に深い傷を残す地震について研究し、辛い経験をする人を減らす仕事を志すようになりました。


高校1年生で地震の研究をするために名古屋大学に進学すると決めてからは、周囲の人たちに実力不足だと言われながらも、「名古屋大学に行く」と言い続け、努力しました。合格して父母と泣いて喜んだのは良い思い出です。


学部4年生の時に、現在の研究の対象である火山性低周波地震という火山性地震の一種に出会ってからは、その魅力と重要性に惹かれ、火山に興味を持つようになりました。火山性地震とは活動的な火山で発生する地震で、噴火前からその発生頻度が増加することなどから噴火予測への貢献が期待されています。火山性低周波地震は火山体内の高温のガス(水蒸気など)やマグマとクラックと呼ばれる岩体の割れ目の相互作用によって発生する地震であると考えられており、世界の様々な火山で観測されています。なぜこのような形の波形になるのだろう、複数の周波数のピークを持つ意味はなんだろうと日々、地震波形を見ていると疑問が湧き、その好奇心が研究の原動力になっています。


先日、小学生の頃から私を知る先生にお会いしたときに「昔からずっとやりたいって言ってたことに少しずつ近づいていてすごいね」と言って頂きました。私は志に対して頑固に継続して努力すれば成し遂げるチャンスが見えてくると信じて、日々研究をしています。まだ何一つ目標を達成できていない私ですが、ここまで読んでくださった皆さんと一緒に、なにか自分の成し遂げたいことに向かってこれからも頑張っていきたいと思います。



地球環境科学専攻

草津白根山で観測された火山性低周波地震の速度波形の垂直成分(左)と、そのスペクトル(右)(東京大学地震研究所提供)。明瞭な減衰振動波形であり、複数の周波数ピークを持つことが特徴。

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