2024.9.3
「地球環境科学と私」第四十七回は地球史学講座 張 砡嫣さんによる 植物種間の繁殖干渉を探る:理論から実践への旅 です.
はじめに、皆さんは植物にどれほどの興味を持っているのでしょうか? 初対面の人について知りたいと思うのと同じくらい、植物についてもっと知りたいという気持ちが湧いてきますか? 私は現在、植物種間繁殖干渉のメカニズムについて研究を行っています。具体的には、ツリフネソウ属植物における花粉と雌蕊の相互作用を通じて、近縁種間での繁殖干渉がどのように生じるのかを探求しています。繁殖干渉とは、異なる植物種が互いに干渉することで繁殖成功率が低下し、健全な子孫の数が減少する現象を指します。このテーマは、植物の理解や生物多様性の保全にとって極めて重要であるため、私も「植物についてもっと知りたい」という思いでこの研究を進めています。
このテーマに取り組むきっかけと言うと、実は学部時代は中国の甘粛農業大学で、外来樹種が在来樹種の成長に与える影響の研究に力を入れていました。そのうちに、種間相互作用やそれらが互いにどのような影響を与え合うのかに興味を持つようになり、現在の西田佐知子先生の研究室に入って植物間の繁殖干渉の研究を始めることになりました。これは挑戦であると同時に、それまで樹木の研究に専念していた私にとって新たなスタートでもありました。
昨年9月、私は西田先生と一緒に安曇野でフィールド実験を行いました。本に頭を埋めて受験教育を受けてきた私にとって、自然の中に身を置き、雨上がりに蕾をつけた花々に手を触れることは本当に楽しい経験でした(図1)。他の人にとっては、これはただの普通の野外活動かもしれませんが、私にとっては、実践の重要性を深く実感する瞬間でした。この自然の中で、初めて学びの真の意味を実感し、それが単なる書籍から得る知識にとどまらないことを悟ったのです。
図1:フィールドで実験したツリフネソウのサンプルと、実験中の様子
しかし、留学生として、新しい環境に対する不安は常に伴い、研究の道のりは決して平坦ではありませんでした。例えば、フィールドワークで西田先生の質問に答えられずに恥ずかしい思いをしたり、専門知識が不足しているために、まるで山のふもとにいるように感じたり、皆の前で発表する際に質問が理解できず、自信を失ったこともありました。実際には、他にも数え切れないほどの困難があり、自分の欠点について語ると、恥ずかしながら言い尽くせません。周りにいる多くの優秀な人たちと自分を比較したくても、それをする勇気がありません。とはいえ、こうした困難に直面する中で、私は大きな支えを得ることができました。西田先生は、私の数々の失敗を見ても決して責めることなく、常に温かく励ましてくださいました。私が植物に関する知識が十分でないことを理解し、先生は私を野外に連れ出し、植物標本の採集とそれを学校で同定するという経験をさせてくれました(図2、図3)。そのおかげで、今では植物の名前をいくつも覚えることができました。博物館の皆さんも私の弱さを笑うことなく、親切に接し、積極的に議論に参加してくださいました。このような環境の中で、私は自分の不足を克服し、前向きに進んでいく決意を新たにしました。
図2:田畑で植物標本を採集している様子
図3:採取したニガナのサンプル
地球環境科学専攻の魅力は、自分の限界に挑戦し、視野を広げるためのプラットフォームを提供してくれるところだと思います。世界には常に優れた研究者の先人たちがいますが、彼らの存在があるからこそ、私は勇気を持って挑戦し、昨日の自分よりも優れた自分になろうと努力しています。このような環境があるからこそ、私の不足を前進するための力に変えることができるのだと思います。
これからも新しい発見を目指して努力し続けるつもりです。まだまだ足りない部分も多いですが、この研究分野で有意義な成果を挙げるために、日々精進していきたいと思います。私の経験が、進学を目指している方や、留学生として新たな環境に挑戦しようとしている方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。